第9回 プレミアム・セレクション
Anomaly Vineyards アノマリー・ヴィンヤード
設立年:1997
オーナー:スティーブ&リンダ・ ゴールドファーブ
ワインメーカー:マーク・ポレンブスキ
解説:サンフランシスコで送る多忙な弁護士業の生活から、よりスローペースな生活を求めて、スティーブとリンダ·ゴールドファーブは1997年にカリフォルニア州バークレーからセント・ヘレナへ移った。彼らが見つけた小さな1区画はセント・ヘレナの西部丘陵に挟みこまれていた。幸か不幸か、町の南西部に位置するその土地は名高いワインを半世紀以上生産しているヘイン·ヴィンヤードに隣接していたのである。その小さな区画にはクローン7のカベルネ·ソーヴィニヨンの木があり、スティーブとリンダはその年の秋にワイン造りを試してみることにした。葡萄の資質とその完全なる状態を頼りに最初のカベルネ·ソーヴィニヨンが造られた。小量の30ケースは商業的に世に出ることはなかったが、彼らのワインをベタ褒めした友人や地元のワイン通に配られた。愛好家たちに励まされた彼らは、リンダの菜園を取り壊し、最先端の石造りのワイナリー建造を2年計画でスタートした。
しかし、この初期の成功を掴んだものの、彼らは一貫した基準でカベルネ·ソーヴィニヨンを生産し続けるためには、最高のノウハウを持つ専門家の支援が必要であることを理解していた。彼らはワインメーカーのマーク・ポレンブスキ、葡萄畑管理責任者ダグ・ワイト、ワインメーカー補佐及びマーケティング・ディレクターにゲリック・フェラーマン、統括管理責任者にセス・ゴールドファーブを雇う。最高品質のカベルネ·ソーヴィニヨンを造る情熱と献身を共有するチームが結成できたことをスティーブとリンダは幸運だと思っている。
Antica Napa Valley アンティカ・ナパ・ヴァレー
設立年:2006
オーナー:アンティノリ・ファミリー
ワインメーカー:レンツォ・コタレッラ
解説:「アンティカ」は、アンティノリ・カリフォルニアのシンボルであり、26世代に亘るワイン醸造への一族の情熱をイタリア語で表現するものである。アンティノリ家の歴史はまた、6世紀に亘るトスカーナの伝説的なブドウ畑から最新のカリフォルニアのエステートに至るまでのワイン醸造への献身的愛の物語でもある。
息をのむほど美しいアンティカ・ナパ・ヴァレーのエステートは、ナパ・ヴァレーの東の山の高台に位置する。人里離れたアトラスピーク地区の550エーカーの敷地では、アンティノリ一族のワイン造りに対する規律と配慮を証明する小ロットのワインが生成される。その丘陵地帯、岩土壌、高地、そしてその美しい風景は、葡萄を育てる理想的な土地となる。
その土地の本来の“DNA”が、卓越した個性とスタイルを持ち合わすワインを生産することをアンティノリは信じている。2007年9月には、アンティカ・ナパ・ヴァレー・カベルネ・ソーヴィニヨンとシャルドネが数量限定発売された。ヴィンテージ毎に、カリフォルニアの最高傑作となるワインの道を開くことは確実であろう。
設立年:1973
オーナー:ボワセ家
ワインメーカー:ブライアン・マロニー
解説:ワイン作りに対する情熱をもったサンフランシスコ出身の一人の消防士、セシル・デローチのデローチ・ヴィンヤーズは、1973年に葡萄が植えられ、ロシアン・リヴァーで育てられたピノ・ノアールのパイオニアとなる。そのデローチ・ヴィンヤーズは、2003年、フランスのブルゴーニュから遥々ソノマ郡のロシアン・リバー・ヴァレーを初めて訪れたジャン・シャルル・ボワセが、川、山、そして世界クラスのピノ·ノアールを成長させるために必要とされる土壌という条件において、その土地がブルゴーニュと一致することを一目で認識し、直ちに買い取こととなる。
ボワセ一家は、バイオダイナミック™、オーガニック、持続可能なワイン造りの権威として知られ、ブルゴーニュの葡萄畑で環境に配慮した手法をとり、また土地の状態とワインの質に与える効能をよく理解していた。そして一家は2004年にそのビジョンをデローチ・ヴィンヤーズへ持ち込んだのである。環境への配慮を示し、2004年のヴィンテージ後、高く評価され受賞までした葡萄畑を潰し、土壌を活性化するために被覆作物に植え替えた。新しい葡萄の木は2006年に植えられ、バイオダイナミック農法で育った最初のヴィンテージは2010年となる。また一方で、彼らは、同じように環境に優しい農業の実践と高品質ワインの生産に情熱を持って専念している他のワイン生産者とも提携し、世界クラスのワインを生産し続けている 。
Flying Horse Winery フライング・ホース・ワイナリー
設立年:1980
オーナー:ヘンドリック&レティ・ スメディング
ワインメーカー:レティ・スメディング
解説:フライング・ホース・ワイナリーは、家族経営のワイナリーである。レティ・スメディングがワインメーカーであり、夫のヘンドリックIV・スメディングが日常業務を行なっている。葡萄栽培の研究をしていない時のヘンドリックは、ビジネスを習得しながらワイナリーのマーケティングおよび販売を担当している息子のベルゲンを手伝い、また葡萄畑の作業も手伝っている。
ワイナリーの名前は「フライング・ホース」として知られている歴史上の回転木馬からとっている。ワインのラベルに描かれた刻まれた回転木馬は、騎士と勇ましさを彷彿とさせるサドルと鎧でしばしば装飾されていた。
手作りのオリジナル回転木馬のように、フライング・ホースの手作りワインは、毎年数量限定で生産されている。
Hidden Ridge Vineyard ヒドゥン・リッジ・ヴィンヤード
設立年:2001
オーナー:キャシディ・ウォード&リン・ ホファケット
ワインメーカー: マルコ・ディギリオ & ティモシー・ミロス
解説:マヤカマス山脈のスプリング・マウンテンの南側と西側の斜面上の節くれだった樫やマンザニタ森林に囲まれたヒドゥン・リッジ・ヴィンヤードは、頑丈な四輪駆動車、徒歩、またはヘリコプターでしか行くことができない人里離れた場所である。55エーカーの葡萄畑はホファケットとキャシディ・ウォード夫妻により、一流のカベルネ・ソーヴィニヨンを育てるために開拓された。55度の急な斜面に位置する葡萄畑の管理からワインの製造過程の全てはマルコ・ディギリオとティモシー・ミロスが任され、彼らの努力の結果、声高に賞賛する45ドルのカベルネ·ソーヴィニヨンが誕生したのである。
オクラホマ州出身で起業家のキャシディ・ウォードとリン・ホファケットが1991年にヒドゥン・リッジ・ヴィンヤードを購入したとき、その民間の狩猟クラブの跡地が遠く離れた静かな郊外の暮らす場所として最適だと思った。しかし、その農村地を住宅用に開発することがいかに難しいことであるか、その時には理解していなかったのである。最終的に、それは人間より葡萄の方が適していることが判明し、カベルネ・ソーヴィニヨンが、人を寄せ付けないような高度900〜1700フィートの山の斜面で成長することがわかった。葡萄畑の開発と植栽に6年間をかけ、ホファケットとウォードは、2000年に果実の販売を開始した。葡萄園の評判を築くために2001年に彼らは実験的に小量のワインを造ったのをきっかけに、ヒドゥン・リッジ・ヴィンヤードのカベルネ・ソーヴィニヨンが生まれる。現在の生産量は5000ケースになり、ウォードとホファケットは果実のほとんどをヒドゥン・リッジ・ヴィンヤードのラベル用に確保している。
L’Angevin ランジュヴァン
設立年:2001
オーナー:ピアソン夫妻&マイヤー夫妻
ワインメーカー:ロビー・マイヤー
解説:2001年のある春の夜に2組の夫婦、アランとレスリー・ピアソン、ロビーとシャノン・マイヤーは、ワインを飲みながら将来について語り合っていた。そしてその夜が、彼らが共に冒険を始める第一歩となる記念すべき夜となった。彼らは、ロビーがオノロジストとアシスタント・ワインメーカーとして、そしてアランとレスリーがワイナリー・エステート及びプロジェクト・マネージャーとして勤めていたピーター・マイケル・ワイナリー・エステートで知り合った。4人は、思いついたワインのブランド名とロゴをカクテル・ナプキンにスケッチし、同年の秋には、最初のヴィンテージ、ロシアン・リバー・ヴァレー・シャルドネ“L’Angevin”を300ケース製造した。2組の夫婦は2005年にオリジナル・ラベル“L’Angevin”の姉妹ラベルとして“ピアソン・マイヤー”を出した。このラベルは“L’Angevin”を生み出した2組の夫婦の名字にちなんで名づけられたものである。彼たちは小さな畑で最適なワイン用の葡萄を丁寧に育て、少量の手造り“ピアソン・マイヤー”ラベルをソノマ・コースト、ナパ・ヴァレーから出荷している。
Long Meadow Ranch ロング・メドウ・ランチ
設立年:1989
オーナー:テッド、ラディー、クリストファー・ホール
ワインメーカー: アシュレイ・ヘイジー
解説:テッド、ラディー、そしてクリストファー・ホールが所有するロング・メドウ・ランチは、シンプルで持続可能な統合された有機農業のシステムを採用している。農場の各部分は、農場全体の健全な状態に寄与する。葡萄畑とワイン醸造、オリーブ果樹園とオリーブオイル製造、牛と馬の繁殖などは、産卵家禽の群れと有機菜園同様に、補完的にすべてが上手く作用し合っている。すべての作物は、カリフォルニア有機農認証団体(CCOF)によって有機農作物として認定されており、除草剤、殺虫剤、または化学肥料を一切使用せずに栽培されている。
Merry Edwards Winery メリー・エドワーズ・ワイナリー
設立年:1997
オーナー:メリー・エドワーズ & ケン・ クーパースミス
ワインメーカー:メリー・エドワーズ
解説:カリフォルニア州初の女性ワインメーカーの一人、メリー・エドワーズのキャリアは、1974年にサンタ・クルーズ山脈にあるマウント・エデン・ヴィンヤーズから始まった。彼女は1977年にマタンザス・クリークで設立時のワインメーカーとなり、1984年までそこで働く。次の十年間はオレゴン州とカリフォルニア州の多様なアペラシオンで、大小、様々なワイナリーのコンサルタントとして活躍していた。
1997年、家族や友人と共にロシアン・リバー・ヴァレーとソノマ・コーストの特徴を用いたピノ·ノワールの生産に焦点を合わせたメリー・エドワーズ・ワイナリーを設立する。彼女は夢を全うし、現在夫のケン・クーパーと共にクーパースミス、クレスタ・ドーロ、フラックス、ジョルガンヌとメレディスの葡萄畑5カ所を管理している。また、彼らはこれらの土地の生産を補うために、他のいくつかの熱心な生産者との協力関係も維持している。現在までには二つの地域のブレンド、及び6種類の葡萄園指定がボトルされ、2001年には樽発酵させたソーヴィニヨン・ブランのブレンドが生産リストに加えられた。
メリーとケンは2008年にクーパースミス・ヴィンヤードの跡地に新しい最先端のワイナリー施設を完成させた。この新しい場所では訪問客に対して土地固有の葡萄栽培の教育を目的として、メリーの手造りワインの試飲が行われている。
Rutherford Grove Winery ラザフォード・グローブ・ワイナリー
設立年:1892
オーナー:ペストーニ家
ワインメーカー:アレハンドロ・アルファロ
解説: ペストーニ一族は5世代に亘り、 ナパ・ヴァレーで農業を営んでいる。ワイン造りのスタイルは、ボブ・ペストーニの曾曾祖父から引き継いだ伝統である高い基準と慣行を妥協せずに掲げることである。ラザフォード・グローブは独自で葡萄を栽培し続け、持続的可能な暮らしを送りながらそれらの習慣を守り続けている。
ナパ・ヴァレーの中心に位置するラザフォード・グローブは、ラザフォード、セント・ヘレナ、ハウエル・マウンテンとレイク・カウンティーの4つの異なるアペラシオンで、家族栽培の葡萄から高品質なエステート・ワインを作り出す。
ワインメーカーのアレハンドロ・アルファロは、「それぞれのヴィンテージが葡萄畑の信念を反映し、それぞれの表現を引きだす手造りのワインとなることを保証するのが私の仕事である」と言う。
Somerston ソマーストン
設立年:2008
オーナー:アラン・チャップマン & クレイグ・ベッカー
ワインメーカー:クレイグ・ベッカー
解説:2004年、アラン・チャップマンは、プリースト・ランチと呼ばれる638エーカーの土地を購入し、2005年初頭に990エーカーのリンチ・ヴィンヤードと合わせて、現在ソマーストン・プロパティとして知られているエステートを築きあげた。この1628エーカーのエステートには、200エーカー以上の持続可能な葡萄畑、ワイナリー、そして開発中の牧場や農場がある。その多様な土壌、微気候、照射は世界トップクラスの葡萄栽培に最適なものとなっている。2008年、チャップマンは、ワインメーカー兼ゼネラルマネージャーのクレイグ・ベッカーとソマーストン・ワイン・カンパニーを設立。その後、ハイフライヤー、プリースト・ランチ、ソマーストン ・ワインの3つのブランドをリリースし、計14,500ケースを生産した。そのうちソマーストン・ワインは、全てがエステートで栽培された葡萄のみから造りあげられ、1,500ケース限定生産となっている。
Tournesol トルネソール
設立年:1998
オーナー:ボブ&アン・アーンズ
ワインメーカー:ケン・ベルナルズ
解説:1998年にボブとアン・アーンズは、ナパ・ヴァレーの南東部にヴィニフェラ種の葡萄を育てるためのなだらかな地形の、彼らの夢の土地を購入した。彼らは30年以上前の結婚以来、ボルドーの品種にこだわった小さなワイナリーを持つという長期的目標を共有していた。1999年に彼らはカベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、マルベック、メルロ、プチ・ヴェルドを植え、現在、誉れ高きクームスヴィル・アペラシオンに15エーカーを所有する。トルネソール・ヴィンヤードは、後にナパ・ヴァレーのハーラン・エステートの葡萄栽培家となった有名なメアリー・ホールによって設計された。葡萄畑は当初からカルロス・マルティネスによって耕され、マルティネスは、トルネソールの現在の葡萄栽培家アン・クレーマーと連携して品質管理を行っている。アーンズは、職人的なワイン造り法と持続式栽培を共有するケン・バーナードをワインメーカーに選び、アーンズのためにケンが造った最初のワインは2002年に完成した。当初から、すべてのトルネソール銘柄のワインは、葡萄畑からわずか数分の場所にケンが管理するオーガニックワイナリー認定の施設で造られている。
トルネソールの名の由来は、フランス語で「ひまわり」、又は文字通りの「太陽の方に向く」を意味することによる。そして、この名前に因み葡萄の生育期間中には太陽がほぼ直線で葡萄の木に当たるような列形式に植えられている。ヒマワリは、よくグリーンイデオロギーのエンブレムとして使われる。オーガニック農業及びオーガニックワインや魚の有機養業へのアーンズの奉仕精神に対して、ぴったりの名と言える。